虫歯や歯周病で歯を失うと硬いものが食べにくくなり、軟らかいものを選んで食べるようになって、次第に噛む機能が低下します。
こうした状態を放っておくと、健康を維持するために必要な栄養が不足し、病気や要介護状態に陥る「オーラル・フレイル」のリスクが高まります。
「フレイル」とは、年齢を重ねると徐々に体力や気力が低下し、外出する機会が減ったり、十分な栄養がとれないために病気になりやすくなったり、ひいては介護が必要になったりすることが懸念されます。
このように心身のはたらきが弱くなり、虚弱になった状態を「フレイル」と呼びます。
入れ歯の役割は、失った歯や歯を支える歯ぐきを回復し、食べものを噛んで飲み込むという咀しゃく機能を改善することにあります。
入れ歯を使う大事な目的の1つは、オーラル・フレイルを予防することにあるといえます。
フレイルの最初の入口は、社会性の低下、つまり社会とのつながりを失うことだと指摘されています。
社会性の低下に栄養状態や身体活動の低下が加わると、負の連鎖によりあたかもドミノ倒しのようにフレイル、要介護状態へと進むおそれがあります。
このような流れを、「フレイル・ドミノ」といいます。
フレイル・ドミノを食い止めるためには、ご自身の心身の変化により早く気づき、日常生活を見直すとともに衰えた機能の回復に向けた運動や訓練を継続的に行う必要があります。
こうして対策に努めることにより、もとの健康を取り戻して維持することができ、いつまでも健康で自分らしく輝いた暮らしを送ることが期待できます。
歯を失うとはっきり発音しにくくなり、コミュニケーションがとりにくくなることがあります。
また、歯が抜けて見ばえが悪くなったのを気にして人と会うのを避けたり、ふさぎこんだりするおそれがないとはいえません。
こうしたことから屋外での活動を控えるようになって社会性が低下することも、健康長寿を妨げる要因の1つと考えられています。
入れ歯には、このように
の回復という3つの役割があります。
また、歯がない状態を放っておくと、歯がないところに隣の歯や咬み合うべき歯が動いてしまい、咬み合わせが悪くなる場合もあります。
入れ歯はいつまでも健康で自分らしく輝いて生きるうえで、とても大切な役割を担っているといってよいでしょう。
歯を失ったときの治療法としてもっとも一般的な入れ歯治療。
同じ補綴(ほてつ)治療のうち、ブリッジは両隣の歯を大きく削って支えにする必要があり、インプラントは手術が必要であるためどなたでも治療を受けられるとは限りませんが、入れ歯であればさまざまなお口の状況に対応が可能です。
また、保険が適用される、自費で作製する場合でもインプラントと比較して安価に作れるなどのメリットがあります。
当院では、患者様のご希望やご予算をうかがい、患者様のお口にぴったりと合った、しっかり噛める入れ歯作りを行っています。
現在お使いの入れ歯についても、壊れた、お口に合わなくなってきたといったお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
お口の中は日々変化しています。
そのため人工物である入れ歯は、定期的にメンテナンスや調整を行う必要があります。
そのまま入れ歯を使い続けていると、お口の中でズレたり痛みが出たり、残っている健康な歯に悪影響を与えることもあります。
予防歯科の定期健診で定期的にお口の中の変化をチェックするようにしましょう。
保険適用の入れ歯 | 自費診療の入れ歯 |
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△素材が歯科用レジンに限定される
△床が厚くなる △部分入れ歯では金属の針金(クラスプ)を使用する ◯安価に作れる ◯修理しやすい |
◯素材や形状の選択肢が豊富 ◯希望の入れ歯を作れるく ◯見た目の自然なものが作れる △費用が高額になる △作製に時間がかかることがある △修理が難しいことがある |
安価ですぐに作製できるために、最初の入れ歯では保険適用を選ばれる方が多くいます。
しかし、審美的な要求や、食感の向上のため、自費で作りなおされる方も少なくありません。
当院では、患者様のお口の状況やご予算に合った入れ歯をご提案しています。
入れ歯のお悩みがあれば、遠慮なくご相談ください。